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行政書士法人 IPPO「不法就労」という言葉を聞いたことはありますか?
不法就労とは、違法な状態で就労することであり、不法就労した外国人の方だけでなく、不法就労をさせた雇用主も処罰の対象となります。知らなかった、甘く考えていたでは済まされないのです。
外国人を雇用している、しようと考えている方は、「法令違反にならないためには、何をどのように確認し、気をつければ良いのか心配」といった不安や疑問があるかと思います。
以下は、あくまで一例ですが、就労ビザでは、その方の学歴・職歴によって、又、ビザの種類によって、やっていいこと、やってはいけないことが異なっています。
<不法就労の具体例>
・就労ビザを持っているので、日本人と同様に業務内容に制限ないと思い、フロント業務に加え、レストランでの接客、配膳、清掃等にも従事してもらっていた。
・インド・ネパール料理店で技能ビザ(コック)として働いていた者を採用し、インド・ネパール料理以外の料理を作ってもらっており、又、料理以外の仕事(接客、清掃等)にも従事してもらっていた。
そこで今回は、外国人の方を雇用する事業主の方に知っていただきたい、不法就労について、在留資格でできることとできないこと、在留カードの確認方法などをお伝えします。雇用する側の責任として、お互いが安心して働く環境をつくるためにも確認してみてください。
不法就労となるのは、以下の3つのケースがあります。
密入国した人、在留期限の切れた人(オーバーステイ)、退去強制されることが既に決まっている人は働くことが禁止されています。
在留資格には就労が認められているものと認められていないものがあります。就労が認められていない在留資格の人は働くことができません。例えば、観光などの短期滞在目的で入国した人や、留学生や難民認定申請中の人が「資格外活動許可(※)」を得ずに働くことはできません。
在留資格ごとに定められた、従事できる業務内容と違う業務で働くことはできません。例えば、外国料理のコックさんであれば「技能ビザ」、ITエンジニアであれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人が、工場で作業員として働くことはできません。
就労できるビザを持っていたとしても、どのビザを持っていて、そのビザが従事する業務のビザに該当するのかを確認する必要があります。
また、例えば、留学生が「資格外活動許可(※)」を得ていた場合でも、法令で定められた時間を超えて働くことはできません。
(※)資格外活動許可とは?
資格外活動許可とは、働くことが認められていない在留資格(留学、家族滞在などの在留資格)で在留する外国人の方が、アルバイトをするために必要な許可のことです。在留資格の申請時にあわせて資格外活動許可の申請が必要です。許可を得れば好きなだけ働けるわけではありません。働ける範囲が決まっていて、週28時間以内と定められています。アルバイトを掛け持ちする場合でも、合計で週28時間以内でないと、不法就労となるので雇用主側も注意が必要です。アルバイトの時間数の管理を外国人の方任せにして、知らないうちに週28時間を超えてしまったというケースもあるので、気をつけましょう。
不法就労をさせる、不法就労をあっせんした人は「不法就労助長罪」となり、3年以下の懲役・300万円以下の罰金が課されます。外国人の方を雇用しようとする際に、その人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰の対象となってしまいます。また、外国人の雇い入れや離職について、ハローワークへの届出をしない、虚偽の届出をした場合も30万円以下の罰金となります。
在留カードは、正規に日本に中長期間在留する外国人の方に交付されます。
※具体的には、次の1~6にあてはまらない人です。「3月」以下の在留期間が決定された人
1.「3月」以下の在留期間が決定された人
2.「短期滞在」の在留資格が決定された人
3.「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
4.「特定活動」の在留資格が決定された、台湾日本関係協会の本邦の事務所(台北駐日経済文化代表処等)若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方
5.特別永住者 ※特別永住者の方には特別永住者証明書が交付されます。
6.在留資格を有しない人
外国人の方を採用する際には必ず、本人の在留カードを見せてもらい、以下の点を確認しましょう。
在留カードの表面に「就労制限の有無」と書かれた欄があります。以下のどれにあたるのかを確認しましょう。
「就労制限なし」
就労制限なしの在留資格は「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つです。就労時間や業務内容に制限はありません。
「在留資格に基づく就労活動のみ可」
在留資格「技術・人文知識・国際業務」など就労ビザと呼ばれるビザは、この文言が書かれています。在留資格を申請した時に、出入国在留管理庁から許可を得た以外の業務に従事するのは原則的に禁止されています。例えば「技術・人文知識・国際業務」であれば、ITエンジニア、経理、人事、通訳翻訳などの許可を得た業務に限られ、工場の単純作業など違う業務に従事することはできません。従事する予定の業務と現在持っている在留資格を確認し、場合によっては在留資格の変更許可申請が必要になります。
「指定書により指定された就労活動のみ可」
他の在留資格に分類されず、法務省が個々の外国人について特に指定する活動を行う人に「特定活動」という在留資格を付与します。特定活動の内容によって、就労制限が違います。特定活動の内容を必ずパスポートにある指定書で確認してください。
例えば「就職活動」のためにビザを取得した人は、就職活動のみできます。また「ワーキングホリデー」は、休暇目的ですが、滞在期間の資金を補うため勤務時間制限なしで勤務可能です。
「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」
こちらは業務内容だけでなく勤める機関(会社)まで指定されています。たとえ同じ業務でも別の会社で仕事してしまうと不法就労にあたるので気を付けてください。在留資格の「技能実習」などが該当します。
「就労不可」
労働目的以外で日本に来た人の在留カードには「就労不可」と記載されています。「留学」「家族滞在」「研修」などの在留資格はすべて就労不可に分類されます。就労不可であっても、裏面に「資格外活動許可」の記載があれば原則週28時間以内の就労が可能です。
表面に在留カードの有効期限が記載されています。期限が切れるまでに変更や更新許可申請の手続きをする必要があります。一日でも期限を過ぎるとオーバーステイとなるので注意が必要です。表面の在留期間の満了日までに、在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請をした場合には、その旨が在留カードの裏面に記載され、当該申請に対する処分がなされない限り、表面の在留期間の満了日から2か月を経過する日まで有効となります。
以上になります。
不法就労になるケース、外国人雇用の際に気を付けるべきこと、在留カードの確認する点などお分かりになりましたでしょうか?初めて外国人の方を雇用する時は慣れないことが多く大変かと思います。雇用前に不安な点は解消し、お互い気持ちよく働けることを願っています。
当事務所では、特に初めて外国人の方を採用される企業の方には、雇用される方のビザでやってはいいこと、やってはいけないこと、就労ビザで雇用するにあたって気を付けること等、時間をかけてお伝えしています。そうしないと、知らない間に不法就労させてしまったなど、トラブルにつながり、企業の方も外国人の方も安心して働くことが出来ません。
就労ビザを取得することが、ゴールではなく、安心して長く働けること、外国人の方がその企業でやりがいを持って、キャリアアップしていけることが大切だと思っています。
当事務所は、『日本で暮らす外国の方々が、日本で安心して生活でき、未来に希望が持てるようサポートすること』を理念とし、以下の点を大切にしています。
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