入管法改正に伴う永住許可制度の見直しポイント

2025年1月15日

「永住者」の在留資格とは・・

就労ビザ等の在留資格をもって在留する外国人には、行うことができる活動や在留期間に制限がありますが、永住者には、活動や在留期間についての制限がありません。
そのため、永住者は、他の在留資格をもって在留する外国人と異なり、在留期間の更新といった在留審査の手続を受ける必要はありません。
ただし、在留資格の取消制度や退去強制制度等の入管法に基づく在留管理の対象とされています。

永住許可を受けるための要件

  1. 素行が善良であること
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  3. その者の永住が日本国の利益に合すること

という要件を満たす必要があります。

永住許可制度の問題点

永住許可後には、在留審査(在留期間の更新手続き)がないことから、永住許可を受けるためにまとめて公租公課の支払をするものの、永住許可後には、公租公課の支払をしないといった、永住許可制度の趣旨に反するような事例が起きています。

 具体例:税金を滞納するなど公的義務を満たさない場合
     犯罪に関わってしまうなど素行善良が悪い場合

永住許可の要件を満たさなくなった場合でも、永住者として日本で生活をすることができておりましたが、令和6年6月21日に入管法(出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)が改正され、適切な在留管理を行うため、在留状況が良好と評価できず永住許可の要件を満たさなくなった永住者に対し、永住許可の取消制度が創設されました。

永住許可の要件を満たさなくなる場合

「入管法上の義務違反」

在留カードの有効期間の更新申請や、住居地届出を適正に行っていないこと

 「故意に公租公課の支払をしないこと」

 税金、年金、社会保険料等の支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないこと

 「特定の刑罰法違反」

刑法の窃盗、詐欺、恐喝、殺人の罪などや、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の危険運転致死傷など、一定の重大な刑罰法令違反に限られており、いずれも故意犯を対象としています。

入管庁は、どのような手続を経て取消しを行うのか

入国審査官又は入国警備官に事実の調査、外国人からの意見聴取等をへて、①永住者の在留資格で引き続き在留、②「永住者」以外の在留資格に変更するか、③永住者の在留資格を取り消すかを慎重に判断されます。

 永住許可制度の適正化について
 https://www.moj.go.jp/isa/content/001421944.pdf

永住者以外の在留資格が変更された後、再度、永住許可を受けることはできますか?

今回の改正は、永住許可の申請手続を変更するものではないため、「定住者」などの在留資格に変更された場合であっても、その後、永住許可の要件を満たせば、再度、永住許可を受けることが可能です。

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